日本の高齢化現象を食いつくす悪質商法被害の実態

団塊の世代と言われた戦後ベビーブームに生まれた人々がいっせいに老人となったこの日本は、もはや50代以上の中～高齢者が国民の大半を占めるという過去に例が無い異常な状態となっています。

そうした現状と共に、次第にその数を増やしてきた『オレオレ詐欺』を代表とする特殊詐欺はマスコミの報道なので多くの人が知っています。

しかし、その陰で次第に魔の手を広げはじめている悪質商法についてはまだ認知度が低く、効果的な対策を取れる人間は多くありません。

高齢者の悪質商法に対する相談は年間10万件？

この日本で悪質商法に関する相談を受けているのは消費者センターと国民生活相談センターとなってしまいますが、この両センターへの相談件数は2004年におよそ10万件を超えた時点から、その数を一定に保ったまま現在にまで至っています。

特に高齢者をターゲットとした相談がその大半を占めおり、その順位は以下の様になります。

１位『家庭への訪問販売』

５位『かたり商法』

家庭への訪問販売や電話での勧誘や販売は、その手法そのものは合法的であるため、大手企業でも頻繁に使われている営業方法ですが、この手法を悪用して悪質な詐欺や商法を行う人間は大変多いようです。

また、年間10万件の相談者の背後には、実際に詐欺にあっていながらその被害を訴えられない多くの被害者が存在していることは間違いありません。

また、被害額が少なく、それが悪徳商法であることに気が付かない高齢者も多いと言われています。

このような現状は今、多くの高齢者にターゲットが向けられていますが、高齢者からの搾取ができなくなれば、そのターゲットが若年層に向けられるかもしれません。

高齢者は訪問販売詐欺にあいやすい

年齢を重ねれば、それだけ人間は細胞を失っていくため、考える能力そのものや、危険を察知してそれを回避する能力も薄れていきます。

また、認知症などの症状を併発している高齢者も多い為、70歳を超える高齢者たちは悪徳商法を行う人間にとっては格好のターゲット。
つまり、騙しやすい相手ということになります。

また、高齢者になればなるほど、資産はあるがその使い道が無くなっていくため、お金の使い方も粗雑になる事が増えるので、その商品が必要か否かを判断せずに簡単にお金を出してしまう人も少なくありません。

高齢者は健康と孤独、そして資産で騙される

高齢者をねらった悪質商法の大半は健康グッズや資産運用などの名目として、粗悪な商品やサービスを被害者に売りつけています。

お金と健康は、人間の本能に近い部分で欲している欲求のため、『健康的に問題があるからこの商品を使わなければならない』と言われると、特に欲しくもないのに恐怖や不安からその商品を購入してしまいます。

また、資産に関わるサービスや商材は、老後の生活を考えて資産を増やさなくてはならないという不安や恐怖感に駆られて購入してしまうものなので、これもまた高齢者を騙し安いものになります。

このように、悪徳商法の大半は人の物欲を満たすものではなく、実生活の上で不安に感じ、恐怖を覚えるものに狙って行われるので、そうした不安や恐怖が強くなる高齢者ほどターゲットとなりやすいのです。

悪徳商法を防ぐためには

悪徳商法を防ぐためには、とにかく訪問販売、電話勧誘などをシャットアウトするのが効率的です。

基本的に、老後の生活を送るのにそれほど物は要りませんし、資産運用も下手に動かすより、そのままにしておいたほうが無難です。