離婚での慰謝料と養育費の相殺について【方法や失敗しないコツとは】 - 2016.08.29(月)
離婚での慰謝料と養育費は性質の違うものですので、相殺をしようというときには注意が必要になります。
慰謝料は損害賠償の一種ですので、本人が持っている権利ですが、養育費は子供のためのお金であり、半分は子供の権利であることであるということも重要です。
離婚をするときに問題となる権利
離婚をするときに必ず問題となるのが財産分与や年金分割などですが、子供がいる場合には養育費や親の親権、面会交流権なども重要になります。
よく誤解されていますが、慰謝料は離婚をすると必ずもらえるものではなく、浮気やDVなどの不法行為があった場合にのみ問題となります。
もしも妻の浮気が原因になっているならば、夫から妻に請求がされることもあります。
2つの権利は性質が異なる
養育費は親の扶養義務にもとづくものであり、離れて暮らしている親が子供に同じ水準の生活をさせるために支払うお金です。
子供だけが貧乏な生活をしており、離れて暮らしている親が贅沢な暮らしをしているという状態は好ましくありませんので、子供に同水準の生活をさせられるだけのお金を毎月支払うべきとされています。
子供の健康、教育などのために毎月必要になるお金ですので、原則として毎月払いとなります。
一括で請求することも可能ですが、一括で支払ってしまうと子供との関係が切れてしまうとか、面会できなくなるのではないかという不安をもつ親も多く、一括での支払いに応じてくれることは稀です。
一方で、慰謝料は不法行為に対する損害賠償ですので、原則として一括払いをするものです。
分割払いにできることもありますが、一定の手数料が上乗せされることもあります。
失敗しないコツとは
このように、両者は性質が異なる2つの権利ですので、原則として相殺をすることは認められません。
例えば、元夫から元妻に養育費を子供が高校を卒業して働くまでの期間、月に5万円支払い、元妻から元夫に慰謝料を毎月4万円、2年間支払うという約束がされていたら、最初の2年間については元夫から元妻にたいして月1万円を支払ったほうが簡単だと考えるでしょう。
もちろん、このようなやり方は可能です。
しかし、元妻から慰謝料が支払われないということを理由にして、元夫が養育費の支払いを拒否するということはできませんし、その逆も同じです。
2つの権利は性質の違う別々の権利なので、どちらかが支払われないことを理由にしてどちらかの支払いを拒否することはできません。
もちろん、お互いの話し合いで決めることは可能ですが、裁判になると相殺を対抗することはできないということです。
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