日本社会の闇『所在不明児童』とは

現在、静かに騒がれはじめている「所在不明児童」問題。
その数は実質1000人以上とも言われており、深刻な社会問題と化すのも時間の問題です。

一体、平和なこの日本でいったい何がおきているのでしょうか？

2908人以上が所在不明に？

2014年に入り、住所登録の無い子供の虐待事件が多発したことを受け、厚労省は「全国の子供の所在調査」を実施。その結果、書類上で所在が確認できない子どもが２９０８人に至りました。

その後、書類をもとに追跡調査を行った結果、そのうちの95％の子どもの所在が無事確認できました。

残された141人の行方不明児童

しかし、追跡調査を行った結果、書面上の住所地に居住実態がないなどして、22の都道府県において、なんと141人もの所在不明児童が居る事がわかったのです。

そのうち、未就学児（学校に行っていない児童）が６１人、小学生は４０人、中学生２７人、それ以上が１３人に上ったと言われています。

さらに、そのうちの72人は外国人家庭の児童であり、所在が不明な理由は日本を離れたためだと言われます。

しかし、残る69人の所在不明児童に関しては、『虐待のリスクがある』と判断された子供が４人おり、残る子供たちも、一般家庭よりも遥かに高いリスクを抱えた環境にある可能性が高いといわれています。

なぜ所在が確認できないのか？

児童の所在がここまで確認できない理由としては、まず第一に配偶者からの暴力を理由に、住民票などを移さないままシェルターなどに入った母子が多く居る事があげられます。

住民票を移さない理由としては、暴力をふるった人間が配偶者であり、離婚などは一切認めないような配偶者が沢山いるためです。

この配偶者は書類上は被害者母子の家族であるわけですから、虐待の事実調査が行われていない段階なら、戸籍謄本を取ったり、郵便局の転送届けなどから被害者の住所を追跡してしまう可能性があるのです。

その他の理由としては、借金などを理由に夜逃げをして、住民票を移していなかったりするケースも多いと言われます。

虐待を受けている恐れ

しかし一番恐ろしいのは、虐待の末死亡したまま、戸籍だけが残っている児童が多数いる可能性でしょう。

実は過去に、虐待の事実を自治体が知りながら、幼い子供が犠牲となった事件が起きた事件が発生しています。

＜神奈川5歳児遺体遺棄事件＞

事件が発生したのは2014年5月31日。神奈川県厚木市で当時５歳の男児が白骨遺体で見つかりました。
この5歳児は外出を禁止されたばかりではなく、部屋に閉じ込めらた状態でした。

さらに食事はおろか、水すらも十分に与えられず、やがて死亡。
その後、遺体は７年以上放置され続けていたと言います。

しかし、この児童の身に異変が起きていた可能性を知りえた人物は驚くほど大勢いました。

近隣住民はもちろんの事、３歳の時以来、一度も健診を受診していないことは市の職員が把握していたのです。

また、かつては一時的に児童相談書（虐待などの可能性がある子供が保護される場所）に保護されていた事もあり、この子供の家庭に問題がある事は明白でした。

今後の課題は？

こうした所在不明児童の存在が明らかになった後、厚労省は乳幼児健診を受けていなかったり、義務教育を受けて居ない子供が居る場合には、厚労省、文科省共に協力し、その所在を明らかにするよう徹底した調査が行われる事になりました。

また、所在不明児童に関するガイドラインの作成も進んでおり、発生防止の取り組みも進んでいるようです。

まとめ

こうした所在不明児童は、行政のデータ一本化や、自治体の体制など色々な問題がありますが、所在不明児童を生み出す一番の問題は貧困だと言われます。

格差社会が広がる一方の日本では、今後様々な貧困問題に直面していく事になるでしょうが、どのような社会になろうとも、所在不明児童のような不幸な子供だけは生み出してはなりません。