探偵はストーカー？ストーカーとの違いとは

探偵を批判する言葉として、時たま『探偵なんてただのストーカーだ』なんて言葉を聞きます。

こんな事を言われて怒らない探偵さんはいないでしょうが、本当に探偵とストーカーは違うのか？

ここで改めて探偵とストーカーの違いについて考察してみたいと思います。

探偵はストーカーではなく『プロ』ストーカー？

はい、探偵はストーカーかどうかと言われれば、私は『いいえ、プロのストーカーです』と答えてしまいます。

実はそもそも、ストーカーの語源となった「ストーク(stalk)」という言葉には「密かに後を追跡する」「密かに獲物に接近する」という意味があり、ここにingが付いて「ストーキング(stalking)」という言葉が生まれました。

この言葉は、もともと狩猟の言葉とし使われていたため、ハンティング用語や、軍人が敵兵士を追跡する行為も「ストーキング」またはそれを専門に行う者を「ストーカー」と呼んでいます。

つまり、「ストーカー」という言葉だけを取ってみれば、ストーカー犯罪者も探偵もやっている事は大変似ているため、探偵＝ストーカーといのはある意味間違ってはいないのです。

尾行＝ストーキングではない？

では、探偵が行う尾行はストーカー行為にはまったく当たりません。
その違いとして大きく上げられるのは尾行の英語がまるで別の言葉になる事があげられます。

先ほどストーカーの意味については説明しましたが、尾行と張り込みを英語に直すと、まるで違う言葉になります。

まず尾行は英語にすると「shadow」となり、尾行をする人間の事を「a shadow」となります。

このshadowと言う言葉が出来た背景には、司法機関の成り立ちが大きく関係しており、もともとは警官のスラングとして使われていたとされています。

つまり『ストーカー』と『シャドウ』の違いは、相手を獲物と見なすか、業務上必要な追跡相手と見なすかの違いという事になります。

さらに言えば、90年代にアメリカで起きたスターのファンが起こした事件を切っ掛けにストーカーという言葉が一般化したのですが、この時、職業的に相手を追跡する『尾行』との差別化が必要だったため、『ストーカー』という言葉が使われはじめたとされています。

目的の違い

言葉の意味の違いを無視したとして、探偵とストーカーが似ていると仮定した場合、両者が大きく異なる部分は『アマチュア』か『プロか』の一点に絞られます。

ストーカーは勿論自分でストーキング相手を選ぶ、自分の意思によってストーカ行為を働くため、そこに報酬は一切発生しません。

しかし、探偵は依頼者の依頼によって尾行相手が決まり、尾行を行った後に調査結果を手渡す事によって金銭を得るので、個人的な感情は一切そこに入り込んで来ないのです。

また、日本におけるストーカーとは、ストーカー規制法案に唯一求める事ができますが、その法律に中に書かれているつきまとい行為の定義は以下の通りです。

“特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する”
（ストーカー規制法案 2条1項柱書）

つまり、日本におけるストーカーとは、その相手をストーキングするきっかけに『相手への好意』が無ければならないと法律で定められています。

そのため、金銭を目的とする『プロ』である探偵はストーカーではなく、同じ様な行為を個人的な感情を満たす為に行う『アマチュア』のみがストーカーと認められている訳です。

まとめ

いかがでしたでしょうか？

同じ様な行いをしていても、言葉の意味が違ったり、プロかアマチュアかという違いだけで、その好意がストーカーとして認められたり、認められなかったりします。

だからこそ、探偵はストーカーとの差別化を図るため、正義感と高い向上心を持ち続けなければならなりませんし、世間一般の認識としても、プロとアマチュアの違いははっきりと認識して頂かなければならないのです。