探偵は見た！本当にあった浮気現場『セレブ妻の罠』

『セレブ妻の罠』

今回依頼をしてきたのは、35歳の建設関係のお仕事をされている男性で、妻の浮気を調べて欲しいと相談に来られました。

依頼者の話によれば、最近妻の衣服が増え始めたそうで、その中には見た事もない高級ブランド品が何点もあったのだとか。

この事について問いただすと、妻は「貴方には関係ないでしょ！」と一蹴、さらに依頼者の収入の低さを責め始めた為、すでに夫婦中は完全に冷え切ってしまったのだとか。

しかし、依頼者と妻との間にはすでに子供がいるため離婚のつもりは無く、浮気の証拠を集めた末、なんとか妻に浮気を辞めさせたいと悩んだ末、探偵社の扉を叩いたとの事でした。

調査開始

今回の調査は、依頼者の自宅が開始場所となりました。

この時、すでに依頼者と妻は別居状態にあったため、この自宅には依頼者のみが住んでいるそうでした。

また、妻は専業主婦のためパートもアルバイトもしておらず、日中に浮気をする算段が高いとの事から、早朝から自宅周辺の張り込みが開始されました。

しかし、日中に対象者の動きは見られません。昼を過ぎ、夕方を過ぎ、それでも一向に動きを見せない事に焦りを感じ、相談員と依頼者との間で調査を中止するか否かの協議が行われている最中、ついに対象者が家から姿を現しました。

情報通り、対象者は確かに派手な井出達でした。有名ブランドの大きなネックレスに、上下白のドレススーツで、こちらも恐らくネックレスと同じブランドのもの。靴も見るからに高そうなピンヒールを履き、手にしたバッグは、かの有名な派手な絵柄のポーチでした。

そして自宅を出て、近くの駅まで向かうと、そこに止まっていた白いセダンの助手席に乗り込みました。

車を運転していたのは40代の男性。エンジンが掛り、尾行開始です。

ブランド品をかいあさる二人

車はしばらく走り、そのまま高速へ乗って都心部へ向かうと、有名ブランドが立ち並ぶファッションモールへ向かいました。

そこでブランド品を見て回ると、気が付けば二人は腕を組みながら歩きはじめました。

買い物総額は、その時だけでもおよそ３万円以上。この様な買い物を男性を会うたびに繰り返しているのであれば、確かに急にブランド品が増えても仕方ありません。

この状況をみる限り、浮気相手の経済力は確かに高いようですが、不思議なのは、対象者の情報を見る限り、この様な男性との接点はまるで無いはずでした。

対象者はパートでアルバイトをする普通の主婦で、セレブとの接点などまるで皆無。
しかし、その疑問の答えはすぐに解る事となります。

罠

買い物を終えた二人は再び車に乗り込むと、再び車を走らせ、今度は寿司屋へと向かいました。

今度は依頼者の要望もあり、その店内に入り二人の会話を聞く事に。

「それで、旦那さんは今忙しいの？」
「うん、相変わらず、医者ってそんなもんよ」

───医者？
私が疑問に思うよりも早く、対象者は寿司を片手にペラペラと喋ります。

「最近は学会での発表も大変だから」
「それで、今家に居ないの？」
「そう、論文を早く書かないといけないんだって」

そう言って寿司を食べる対象者達の会話を記録しながら、私はようやくこの妻が浮気をした理由を知ったのです。

そう、この妻はあろう事か、初めから金銭目的で浮気をはじめたのです。
それも、セレブに近づくために、自分の身分を偽って───

その後

その後、ホテルの同室にチェックインした様子を押さえ、調査は終了しました。

その報告書を元に、依頼者は結局この妻と離婚。浮気相手にも慰謝料請求をしたとの事なので、恐らくこの妻の嘘はすっかりバレてしまったでしょう。

人という生きものは、それぞれの生き方があり、それ相応の幸せを求めなければなりません。

しかし、自ら嘘をつき、危険な行為をしたため、全てを無くしてしまった今回の対象者の欲の強さも、また人間ならではの愚かさだとも言えるでしょう。