テレアポで予約の取れたおうちに訪問し、ハウスクリーニングや洗浄用品、空気清浄機や浄水器の販売を行う訪問販売の仕事をしていました。それ以前はファミレスでアルバイトをしていましたが油でギトギトになったキッチン内をピカピカにするのが好きでした。きれいにすることなら夢中になれると思いこの会社に入社しました。

テレアポはベテランのパートさん達がとってくれます。私は決まった先へ行き営業をする仕事でしたがそういうのはやはり高齢の方が多く、本当に困っていたり、ただ電話で断りきれなかったりするのですが、さびしいのでついという方も多くいらした気がします。ある日訪問したさきで高齢のお婆ちゃんと中年の女性が私を待ち構えていました。中年の女性はおばあちゃんの娘さんでした。「最近変なのが多いので私も話を聞きます」詐欺師扱いです。当然です。得体の知れない電話から押しかけてきて何かを売りつけようとするに決まっています。私が一通り会社や趣旨の説明をすると安心されたのか娘さんはあっさりと「大丈夫そうね」と帰られました。私の人柄が信用を得たのだと思い込んでいたのですが、今思えば私の営業の腕のなさを見抜かれ「こいつはたいしたことないな」という印象で帰られたような気もします。
一通り仕事をして営業の話もして、帰ろうかとおおうとおばあちゃんは「せんべいでもくいな」それじゃお礼にと一箇所掃除して帰ろうとすると「夕飯でも食べていきな」これがうまいんだあれがうまいんだと次々に食べ物を勧めてくれて、お土産まで持たせてくれます。なんだかんだで家を出たのは２１時近く。初めは詐欺と間違われていたのに。でもきっと話を聞いてくれる人が欲しかったのかなとも思いました。誰かにそばにいて欲しかったのかもしれません。仕事は取れませんでしたが、だれかの役に立てたこと、そのお婆ちゃんと会えたこと自体がとても嬉し方のを覚えています。

訪問の営業よりハウスクリーニングの方が好きでした。油ギトギトのキッチンをピカピカにして帰るとき、キチンだけではなく周辺もきれいにして帰ります。ただキッチンをきれいにするのではなく、その人の生活がよりよくかわって欲しいなという思いを込めています。尿石でガチガチの何年洗っていないかわからないトイレを新品同様にして帰ったこともあります。午後入って２２時過ぎまでかかりましたが、明日から気持ちよくトイレを使ってもらえる、そんな姿を想像するとワクワクしてたまりませんでした。遅くなってしまいましたがその家のご主人も高齢の方だったのですがものすごく喜んでくださいました。だれかの喜びに触れられる仕事ができたとき、やっぱり最高に楽しいですね。

私は職人肌なのか、トークがまるでダメでした。仕事にいは意義ややりがいを持っていたのですが直接的に利益に繋げる貢献はあまりできませんでした。この会社でのメインの収益はやはり高額商品の契約だったので私は売上にほとんど貢献していません。言葉より体を使ってしまうのでより一層売れませんでした。本当は楽をして、ほらこんな簡単にできるので奥さんもどうですか？というように販売します。私は「僕がやりますから任せてください」という感じになっていたんだと思います。
テレアポ中心の会社だったのでそれに従っていたのですが、私みたいなタイプは一日１，２件のテレアポより１っ件ずつ自分で回るような質より量タイプの方が良かったのではと思います。