お友達に誘われ、客として入会したのが始まりです。
２０歳の時でした。美容に興味が無かった訳ではありませんが、それほど気にしているという感じではありませんでした。客として通ううちスタッフの方に誘われ、入社することとなりました。

エステティックは側から見ればとても華やかで綺麗で憧れる職業だとおもいます。私も最初は自慢でしたし、当時の彼氏も自慢できるところの一つだっただろうとおもいます。
お給料も同年代の子と比べると1.5倍はもらっていたし、契約をとれば、契約金の30パーセントもの高いリベートが入りました。同僚も同じくらいの歳の子ばかりで、ガールズトークに花を咲かせていたことをおぼえています。
仕事自体は楽しかったのですが、契約を取るということになれば話は別で、先輩の厳しい目が私を見ていました。朝礼時は、その日の予約しているお客様をリストアップし、どんなトークでどんな商品をお勧めするか。いくらの売り上げが見込めるかを発表しあい、実行に進めていきます。わたしはおしゃべりは得意でしたが、高額商品をお勧めする度胸がなく、お客様の「お金がなくて…
」という言葉にいつも同情しているばかりでした。
お金がないというお客様にはローン払いをゴリ押しし、今の所気にしてるところはないから…というお客様には肌測定をして無理やり気になるところを作ったり、しばらく来店されていないお客様には閉店後、電話をしてよやくを入れるように促したり…。
売り上げを上げるための裏工作が私はとても苦手でした。

売り上げをあげるために無理に契約を取るということも多々ありましたかま、お客様の中には本当にキレイになりたくて入会される方が多くいらっしゃいます。きちんと定期的に通い、私たちのアドバイスを素直にお聞きくださりるそんな熱心なお客様を担当に持つと私のモチベーションは上がりました。
実際にキレイになっていく様子をちかくで見ることができ、お客様と一緒に歓喜するのが私の一番のよろこびでした。お客様をキレイにして差し上げるのが私たちエステティシャンの本来のお仕事なのですから。

企業が求めるのは常に利益であり、売り上げがアップすることが企業成長につながるとは理解しています。どのお仕事に就いても売り上げ目標があり、従業員一丸となって目標に向かって仕事をするのはあまり前です。
しかし、その売り上げ、利益を生み出してくれてるのはお客様だということを忘れ、売り上げを上げることだけに躍起になっていたのが私の在籍していたエステティックでした。学生には学生の主婦には主婦の、その人のライフスタイルはひとそれぞれです。お客様に寄り添い、お客様の意向を尊重し接客していけたら良かったなぁと今になっておもいます。
私は上司や先輩の目ばかりを気にしていました。お客様のためではなく、じぶんの立場のために仕事をしていたのです。若かったこともあり、それに気がつけませんでした。