私は大学生で、ちょうど通学路沿いにあるのでいつもお店を目にしていました。また、近所にアパートを借りていたので家から徒歩５分圏内であった事がまず選ぶポイントだったと思います。前から「カフェ店員」に憧れていたのもあったので、学校に行く際にチラチラ眺めていたのですが、ある日店頭にアルバイト募集の張り紙を見つけたので、これはチャンスだ！と思い、学校帰りそのままの足で直接お店まで出向いてお話に行きました(笑)

　アルバイトのお話をしにお店へ出向き、店長さんではなく教育係の副店長さんが担当してくれたのですが、とても優しく親切な方で、すぐにここで働こう！と決めました。またその際にドリンクを出していただいたのですが、グラスを下げに行った時、アルバイトの店員さんが笑顔で「恐れ入ります、ありがとうございます」と声をかけてくださったので、ああ、ここで働いたら楽しいだろうなぁと感じたのが印象的でした。
　仕事を始めるにあたり、大きな壁だったのがマニュアルの多さです。大手チェーン店ということもあったし、採用のお話を頂いた時も副店長さんから「覚えることが本当にいっぱいあるよ」と言われていたので覚悟はしていたのですが、いや本当に多かったです。ドリンクのつくり方一つにしても、ICE/HOTそれぞれマニュアルが違いますし、テイクアウト用のカップと店内用のグラスとでは入れる量も違います。さらに、氷少なめ、氷なしでもグラスのふちから何cm下までどれくらい入れるのか・・・等、とにかく覚える内容が細かい！(笑)またドリンクだけじゃなくてフードのつくり方、食材の仕込み方、用具の洗い方にしても全部マニュアルです。私自身物覚えが悪いのもあったのでその都度全てメモして肌身離さず持ち歩いていたのですが、結局全て覚えるのにメモ帳５冊丸々書き込みました(笑)やっとメモを持ち歩かずにスムーズに全ての作業をこなせるまでに３か月はかかってしまいましたね・・・

そんな中でも私が楽しく仕事をできたのは、やっぱり第一には一緒に働く仲間が素晴らしい人ばかりだったということです。失敗しても嫌な顔せず「大丈夫だよ、覚えるの大変だよね」と優しくフォローしてくれる仲間たちに恵まれたことが、本当に幸運だったと思います。こればっかりは運だと思いますが、たとえマニュアルが多くて覚えることが沢山あっても、周りにいる仲間が良い人ばかりだと何かと続けられるものです。
また、お店がある地域が古くからの商店街だったこともあり、近所に住む常連さんがたびたび声をかけて励ましてくれることも大きな励みでした。「新人か？頑張れよ」とお客様から声をかけて頂けるのは、まだまだ未熟な新人店員にとては最高の薬です。シフトに入る前に店内のテーブルを拭きに回るのですが、その時に挨拶を交わしたり、「今日は何時までだ？」と聞かれ、常連さんが帰るときには手を振って送り出す。だんだん仲良くなり、私もこのお店の店員さんとして認められてきたのかな。と嬉しくなる瞬間でした。

とにかくマニュアルが多くて大変だ、という事を強調して書いてきました。ですが、自分だけがこんなに多くのマニュアルを覚えてきたわけではなく、周りにいるアルバイトの仲間たちや、全国のDOTORで働いている店員さん全員が同じマニュアルを覚えてお仕事しています。ですから、自分と同じ「大変だな」と思う経験を周りの仲間もしているという事。それが大きな励みになりました。バイトを始めたばかりの時は、周りの人の仕事の手早さに自分がものすごく劣っているんじゃないかと気に病むことも多く、一時期はアルバイトに行きたくないときもありました。でも、失敗したとき、休憩室に行くと鞄の中にクッキーと、「お疲れさま。助けてあげられなくてごめんね。今日もあと少し、頑張ろう！」と書いた置手紙が入っていた時には涙が止まりませんでした。
マニュアルが多い、ということは、ものすごく大変な事ですが、それだけじゃなくて、それを乗り越えた仲間たちが周りにいる事。助け合いながら仕事ができる楽しさを学べる、という事もあるんだなぁ、という事に気付き、仕事が本当に楽しくなりました。