インフルエンサーとは
SNSなどでフォロワーが数千人単位で存在する人、または、アカウントで、かつ、アクティブユーザーが一定数を超えているものをインフルエンサーと呼びます。近年は通常の広告出稿よりもインフルエンサーを活用したほうが成約率やクリック率が高いためインフルエンサーを利用する界隈も増えています。
インフルエンサーとSEO
インフルエンサーはその人独自の世界観と性格、やり方があります。その個性ややり方に対して人が集まってきているので、そこに少しお金を支払って商品の宣伝や被リンク効果を狙うのがインフルエンサーを活用したマーケティングです。
一般のSNSユーザーのフォロワーは100人~500人程度ですが、インフルエンサーは、1000人~100万人と非常にフォロワー数が多いです。一般的な人脈や知り合い同士のつながり以外のフォロワーが多い上に、その界隈での影響力が一定以上存在する場合に、その人・アカウントをインフルエンサーと呼びます。
※フォロワーが10万人いるのに、いいねが1つもつかないアカウントも存在しており、この場合はフォロワーが多いだけの単なる「偽フォロワーアカウント」や「転売アカウント」の可能性が高く、インフルエンサーとは言えません。
インフルエンサー活用のメリット
SEOとインフルエンサーを合わせて考える場合、ウェブサイトや商品とインフルエンサーの扱っているコンテンツ、テーマが一致している必要があります。
例えば、PCゲームでインフルエンサーになっている人に、化粧品の宣伝をお願いしても意味はなく、インフルエンサーも困ってしまう上に、たいてい断られます。逆に化粧品を紹介しているメイクアップアーティストにゲーム配信のお願いをしても断られます。
それぞれのインフルエンサーはターゲット層というものがあります。
PCゲーム界隈のフォロワーは30代男性が多く、メイクアップアーティストのフォロワーは18歳~45歳までの女性と幅広く、性別や年齢によって明確にターゲットに差があります。女性ゲーマーの配信に人が集まっている場合、その視聴者の多くは男性なので、女性のゲーム実況者に化粧品の紹介をお願いしてもほとんどメリットはなく、男性向けで、かつ、ゲームに興味があるものを紹介してもらうようお願いしないと、十分なコンバージョンは生まれません。
このため、紹介して欲しい商品・サービス・ウェブサイトと、インフルエンサーのフォロワー属性が一致している場合のみ、通常の広告プロモーションの数倍の効果を期待できます。
女性のメイク系インフルエンサーには、流行の韓国コスメのレビューを投稿してもらったほうが商品販売数は伸びます。店舗での実売数が一定以上に伸びれば、実験店舗以外の店舗でも販売を受け入れてくれる可能性があり、輸入ロット数を数十倍にでき、大規模なマーケティング戦略に勝利できます。
公式SNSよりもアクティブ率が高い
企業や商品ブランドの公式SNSはコンプライアンスや公式という扱いがあるため、インフルエンサーのやるように、娯楽性や個性を出しにくく、ユーザーからも「お堅く」捉えられている場合が多いため、フォロワーを集められても、集客につながる事例は少ないです。
ユーザーの不思議な行動の一つですが、企業公式の発表よりも、普段よく情報を追っているインフルエンサーの情報の方を信用するケースがあります。これは、インフルエンサーへの絶大な信頼と「推し」感覚があるためで、そのユーザーが好きだと推しているインフルエンサーが推しているものは、きっと自分にも合うはずだ、という考えや、あのインフルエンサーと同じものを使ってみたいという考えがあるためです。
フォロワー5万人の企業公式のSNSアカウントでの発信は、毎日投稿するわけにもいかず、固定のユーザーもつきにくいため時々更新した程度では視聴者の目に届きません。しかも、一般ユーザーは企業公式アカウントをフォローしただけで満足してしまって、日々の細かい投稿などはチェックしないため、企業公式SNSの投稿が、ユーザーのタイムラインに登場しにくいというアルゴリズム上の欠点もあります。
これに対して、同じフォロワー数のインフルエンサーは、SNSを更新するのが仕事な上に、美形の顔や魅力的な身体、おいしそうな食事や、美しい景色、魅力あるスポットなどを投稿するため、ユーザーを飽きさせず、適度にユーザーのタイムラインに上がって、認知度を高めます。
こういったとりとめもない内容を投稿しているインフルエンサーの方が、ユーザーの目に止まりやすいため、企業公式SNSでの宣伝よりも、インフルエンサーの投稿内で商品やサービスを取り扱ってもらった方がインプレッションも成約率も高くなります。
さらに、フォロワーが1万人でも毎回5000いいねがつくインフルエンサーと、フォロワーが5万人で毎回3000いいねがつくインフルエンサーならば、フォロワーが1万人のインフルエンサーに宣伝PRをお願いしたほうがコストも抑えられて、効果も大きくなります。
インフルエンサー活用例
インフルエンサーに宣伝をお願いする場合には、
フォロワー数 × 単価 × 投稿回数
で計算する場合が多いです。例えば、フォロワーが1万人いて、1人1円単価で1回投稿してもらう場合は、一度の宣伝で1万円のコストがかかることになります。ツイッターの場合は、最低でも200+いいねと100+のRTがあるはずで、それぞれのRTやいいねをするアカウントのフォロワーが30人~100人程度だとすると、
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いいねによる拡散6,000~20,000
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RTによる拡散3,000~10,000
は得られる可能性があり、実質人数単価は0.5円、アプローチできる人数は倍程度になります。この時のそもそもの単価が1人2円だとコストは2倍になります。
注意すべきこととして、こうした事情を知っているインフルエンサーの一部は、フォロワーをお金で購入しているケースがあります。およそ2000円で2000人のフォロワーを購入できてしまうため、10,000人のフォロワーを1万円で購入して、5社から1人単価2円、投稿回数2回の宣伝を請け負った場合は20万円の報酬を得ることになります。
1万円でフォロワーを購入、20万円の報酬を得て、かつ、企業にはほとんど売上が立っていないという状態になることもあります。
こうした悪質なインフルエンサーも一定数いるため、むやみにフォロワーの多いインフルエンサーよりも、ユーザーと密につながっていて、アクティブ率の高いフォロワー数1000~5000人くらいのインフルエンサーのほうが、結果的にコストも抑えられて、効果も最大化できます。
さらに、インフルエンサーマーケティングの業務を請け負っている企業が、偽のインフルエンサーと偽のフォロワーで数字を偽って宣伝もその偽アカウントの中で行っているケースもあります。
その商品を定価の5000円よりも安い2500円で買いたい人と、インフルエンサーマーケティングを行っている企業が残りの2500円を負担して、一定数の売上を立てる計画をひそかにしていて、赤字にならず、ほどほどの売上につながり、再度企業が、そのインフルエンサーマーケティングの会社に依頼を継続依頼するであろう状況を作って、架空の利益を揚げているインフルエンサープロダクションやマーケティング企業も相当数あります。
このため、インフルエンサーへの依頼が可能なサービスがあった場合は、必ず審査をする必要があります。実在していて実際に会うこともでき、インフルエンサー自身での投稿をしていることを確証でき、投稿が後で消えることがなく、インフルエンサー自身がコンプライアンスの問題を起こさないなどの不安要素も少ないプロダクション、インフルエンサーを選別する必要があります。
インフルエンサーの選び方
まずは、インスタではインサイト、ツイッターではアナリティクスを提出してもらって確認する必要があります。
インスタでは、プロアカウントからビジネス、または、クリエイターアカウントに切り替えているとインサイトを確認できます。これにより、リーチしたアカウント、合計フォロワー、インタラクションなどを確認できます。
ツイッターでも、アナリティクスからツイート数、ツイートインプレッション、プロフィールアクセス数を確認して、実態を確認する必要があります。
上記のツイートアナリティクスを参考にすると、1ツイート当たりのインプレッションは約277で、それほど多くはないですが、プロフィールへのアクセス数がツイート数の割には多い事がわかります。1ツイートで平均28件もプロフィールを見に来ている計算になるため、何度かバズっているか、バイラルな発信があるか、実は注目されている人、または、何か別のSNSから人が多く訪れているなど可能性を分析できて、その後の成長度合いもチェックできます。
これらのアナリティクスだけではなく、そのアカウントを最低1ヶ月はチェックして、ストーリーの動向、@ツイートでの絡み方、ツイ消しの様子や頻度などを確認して、炎上やコンプライアンス違反のリスクの程度をチェックする必要があります。
複数のインフルエンサーのデータを分析して、フォロワー数ではなく、エンゲージメントやインタラクションの数値が高いインフルエンサーに依頼をしましょう。フォロワーが多いだけでは宣伝効果は薄くなり、コストだけがかかることになります。
インフルエンサーに任せないほうがいい分野
インフルエンサーは、SEOによる検索上位を取ってのマーケティングと異なり、影響が瞬間的にしかありません。Twitterでは、投稿は流れてしまい、旬が過ぎれば一瞬で忘れ去られます。Instagramではストーリーは24時間で消えてしまい、フィードでも一度旬が去ると再度見てもらうのは難しいです。
例えば、次のようなコンテンツやテーマはインフルエンサーには向いていません。
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ダイエット
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育児・子育て
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観光資源
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企業イメージ
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ネット回線
これらのテーマは、インフルエンサーのイメージによる影響が大きく、逆に取り扱う商品やサービスのイメージがインフルエンサーに定着してしまうことがあります。
インフルエンサーは特定のテーマで人気があるから意味があるのですが、企業のお付きのイメージが付いてしまうと、インフルエンサーの魅力は半減し、会社にとってもメリットが減ります。
ダイエットや育児に関しては、発信する内容がたいてい賛否両論になる上に、インフルエンサーに左右されない専門家やガチ勢が相当多いです。このため、インフルエンサーのイメージ低下が起こりやすく、下手をするとインフルエンサーが虚偽発言をしているとか、製品がステマだとかいう評価を受けてしまって、深刻な影響を受ける場合もあります。
観光関連もインフルエンサーが現場に常にいられるわけでもなく、魅力や現場の様子を生で伝えるにはインフルエンサーよりも一般人の口コミの方が強力な場合があります。
また、インフルエンサーが未成年淫行や未成年飲酒に関与していたとなると、観光地が被るイメージ低下がずっと残ってしまって厄介です。製品の名称変更などでイメージ脱却ができないので、リスクが高いです。
こうした分野は、地道にSEOを頼りにした対策を行いつつ、SNSなど大勢が目にしてしまう場所ではなく、インフルエンサーなど特定の個人の影響を受けずに、その情報を求めているユーザーにのみ届くように広告PRを行うのが確実です。
インフルエンサーのイメージがついてしまう、また、インフルエンサーに対するイメージが固まってしまうという双方にとってデメリットが起こるため、必ずしもインフルエンサーが良いわけではありません。
お金を払って知名度が上がっても、悪評やマイナス評価、リスクやイメージ低下を起こしては意味がないので、インフルエンサーマーケティング会社を経由して取引をする場合には、事前に契約内容や補償についての条項も確認しましょう。
インフルエンサーの分類と目安
インフルエンサーの種類や階層、分類で決まった言い方や表現はありませんが、あらかたフォロワー数に応じて、分類されています。
また、界隈やテーマの規模に応じてフォロワー数が全く関係ないケースもあります。
【フォロワー1000人~】
どの分野においても、最低限のフォロワーがいる状態で、マイナーなテーマでは既に強大な影響力を持ちますが、多くのテーマではほぼ影響力はありません。
【フォロワー5000人~】
一部の企業やブランドが持つフォロワーよりも影響力が大きい可能性がありますが、スパムフォロワーの割合も最も多い階層なため、1000人規模のインフルエンサーとほとんど変わりません。
【フォロワー10k~】
本格的に知名度が上がっていて、影響力は、議論を巻き起こせない程度ですが、ユーザーが自身で意識的に調べてみようとする行動を起こすレベルには影響力があります。地下アイドルや無名の芸能人、一発屋、企業の社長などと同等の規模ですが、アクティブ率がフォロワー1000人のインフルエンサーよりも下がる場合があり、一概に信頼はできません。
【フォロワー100k~】
たいてい投稿すれば、これ未満のフォロワー数のインプレッションやエンゲージメントを軽く超えるため、影響力としては十分期待できます。芸能人、タレント、雑誌モデルなどを既に仕事にしているケースが多く、単価は1人4円を超えるケースもあって、依頼しにくいけれど、結果はある程度期待できる場合が多いです。
【フォロワー1M~】
フォロワーが100万人を超えている状態で、ネットの詳しい人やネット利用時間が長い人なら名前くらいは知っている状態です。しかし、一度界隈を離れると全く知名度がない状態で、活動の仕方やテーマによってはほとんど頼りにならないケースもあります。
例えば、フォロワーが50万人いるインフルエンサーに投稿をしてもらった場合は、インプレッションは最低でも半分の250,000は届かないとアクティブ率が低すぎます。また、合計エンゲージメントはせめて100,000程度は期待値として持つべきで、コンバージョン・成約は50,000に届けば及第点といったところでしょう。
しかし、かかっているコストは
フォロワー50万人 × 1人4円 = 200万円
となるようなケースが妥当で、200万円かけてインプレッションがたったの25万しかいかないのであれば、他の媒体やSNS内のプロモーション広告を出したほうが10倍以上のインプレッションを期待できます。
例えばGoogle広告で適切に運用すれば1万円で70万表示、クリック250件を出すくらいのことは可能です。規模感で言えば、これの200倍の結果が得られる可能性を考えると、実態として見ればインフルエンサーよりも、通常のネット広告にお金をかけた方がインプレッションは1億4,000万回、クリックは50,000回を記録できます。
つまり、マーケット人口が2000万人程度の規模の界隈にて広告を合計1億回表示できたのであれば、1人あたり5回ほど広告に出ているブランド文字列や画像・イラストを見ていることになり、潜在的な知名度アップ戦略は達成できていることになる上に、成約も一定数得られます。
インフルエンサー1回の投稿では、これほどの影響力はありませんので、AIに任せて広告を運用したほうが効果は大きいです。この場合、炎上のリスクも最低限で、インフルエンサーの愚行によるイメージ低下も起こりません。
ここまでの実態と事例を考慮すると、インフルエンサーマーケティングは、マーケティング会社が儲けるための戦略が織り交ぜられていることは、出稿経験者ならば分かるはずです。
これらを考慮すると、界隈での知名度を高めたければ、フォロワーの多いインフルエンサーではなく、その界隈での実力者・権力者と多くつながっている人に依頼をした方が価値があります。
そういう人ほど、フォロワーはそれほど多くはなく、3000人~6000人程度です。裁量権があり、決定権があり、一定の収入も十分ある人は、そもそも、わざわざネット上で多くのフォロワーを集める必要がないので、あまりその関係に価値を感じず、情報収集にも共有にもならないフォロワーを増やすようなことはしないものです。
価格帯としては3000人に依頼する場合は単価は1円、で済むので、3000円で依頼ができますが、こういう実力者はインフルエンサーマーケティング系の依頼は受けてはくれません。
しかし、全国に店舗を持つ企業の社長などであれば、その事業規模での導入を期待できるので、個人、個人の寄せ集めアカウントよりも、大きな影響力があります。
マーケティング会社は、本来こうした本物の影響力がある所に目をつけて話を通す努力をしているため、安易なインフルエンサー集めも、フォロワー数重視の考え方もしません。
他の事例で言えば、ハンドメイドを制作している者同士のつながりが強いフォロワー1000人のインフルエンサーと、ハンドメイド購入者5000人にフォローされているハンドメイド制作インフルエンサーがいたとします。
この場合に、ハンドメイド製作に使えるパーツの宣伝を行うならば制作者同士のつながりが多いフォロワー1000人のインフルエンサーに依頼するべきですが、実態を理解していないマーケターならフォロワーが多い方のインフルエンサーに依頼してしまいます。
完成品を買いたいフォロワーが多い所で、パーツの宣伝をさせても効果は不十分な上に、ほかのハンドメイド製作者からはあまり良い顔はされない(嫉妬やステマの疑いから)のでマイナスに働く可能性もあります。
フォロワーが多ければ、知名度は広がるように思うかもしれませんが、そのインフルエンサーの周辺にしか広がらないため、効果は限定的で、実はコストのかかり方は無駄が多いです。
インフルエンサーマーケティングで稼ぎたい企業の策でもあるので、実態を正しく把握して、適切な人にアプローチすることを考えていないと宣伝に失敗してしまいます。
どこの誰がその業界に詳しくて、誰がその界隈のキーマンなのかを知るのがインフルエンサーマーケティングの真髄です。これを探るのはその界隈にいた人か、経験者でないと分からないため、まずは、インフルエンサーを自称する人の話を聞き、消費者にもヒアリングをして実態把握をしてから宣伝依頼をするかどうか決定しましょう。
宣伝方法は、インフルエンサーだけでなく、SEO、SNS広告、検索広告、紙媒体、地域情報誌など多数存在していて、ネットが増えている今でもそれぞれに有効性が異なります。ぜひ適切な宣伝方法を見つけられるよう、まずは専門家複数名に相談して下さい。