接客も苦手である為、当時の自宅から自転車で通える範囲を、スーパーなどに置いてある無料配布の求人募集冊子から探して、工場でも有名メーカーの自動車部品工場で、学歴不問という点と時給の単価も少しだけ良くて、制服も支給、なによりも工場作業であるにもかかわらず、ライン作業ではなく単独で自分のペースでできるという点で選びました。
周辺には自動車部品等の工場はたくさんあり、もちろんお菓子メーカーの工場など募集はたくさんありましたが、時給単価や残業手当等を含めて、中でも魅力的であった為、目に留まりました。汚れ作業とは書かれておらず、軽作業としての記載であった為、重労働でもなく、有名メーカーでもあったので安心感もありました。

意外と、簡単な面接で１０分程度で終了し、２名のかたに面接をしてもらいましたが、とてもアットホームな雰囲気で接してくださり、何等質問等をされる事もなく、唯一聞かれたとすれば、いつから来れますか？という質問でしたので、すぐにでも可能な旨は伝えました。また、同じ愛知県内でも遠方の市から引っ越しをしてきて間もない頃で、その点で不安もあった為、こちらから周辺についても全くわからず、工場作業をやった事もなく未経験である旨もお伝えしました。
残業については、繁盛期がある為、やってもらえると凄く助かると面接時は言われており、私自身も少しでも稼ぎたかったのもあり、残業についても問題ないと話したところ、即採用したいという事になりました。工場内の開けたスペースでの面接で、作業している人達からは丸見えな状態の中の面接で、その点は少し人見知りの私としては憚りました。

休憩時間は基本的に、お昼時間の１時間と定時終業時間と残業時間の間の１５分で、その他は立ったままで黙々と部品作りをします。水を張った大きな水槽で作った部品を冷やして完成させますが、支給された安全靴を履いて、ずっと立ちっぱなしの為、冬場はとても冷えますし、夏場は暑く、足はむくんで痛みが出ます。

定期的にトイレなどでタバコを吸ったりできますが、あまり長らく場所を開ける事はできず、１日に自分が作らなければいけない部品の数は決められている為、休んでばかりもいれないのも現状で、自分が作ったものに追加して部品を作り取り付けるという工程をしている人もいる為、相手への配慮も必要でした。

支給される服といっても作業服の上のみで、薄手で、あとは帽子と安全靴です。他は自身の私物である為、汚れても問題ない服装で足や腕が露出しない服装というのは必須でした。

また、作業中は私語厳禁とされていて、静かな中で黙々と、素材を高熱の冶具で温めて形成して、それを素早く水槽の中へ投入して冷やして固める事の単純作業の繰り返しでしたが、意外とその冶具の上げ下ろしも重みがあり、腕も筋肉痛にはなります。
出来上がった製品はすぐ、その場でよく目視等によって検品して箱詰めし、出荷ラインへ並べるという事になります。

水槽の水は１週間に１回は最低でも交換が必要で、凄く大きな水槽で浴槽よりも大きく深い為、水を抜くにも一苦労ですが、毎日何百回と製品を冷やしたり、水を張ったまま１週間作業を続けている為、水槽内部も汚れが付着しており、それを洗う手間もあります。全て自分の持ち場である以上、自分でメンテナンスするというのが基本です。

また、作った製品で不良品が発見された場合は、本社よりメカニック等の担当者達が作業工程を見学に来たりします。それ以外にもどのように作業をしているか定期的に視察にも来ていました。
その時は工場長や班長等の役職の人達もいつもとは違い、朝からソワソワしながら空気も張りつめていて、機嫌が悪く、時々荒々しい言動が見られたりしました。
主にパートさんが多く、ご年配者が長年勤めてきているような感じで、それぞれグループが暗黙の了解でわかれており、女性がほとんどの職場なので、よく仕事中に喧嘩をしているグループもありました。

お昼休憩時は、どこで食べても良しとされていて、社員食堂は誰でも利用できる状態ではありましたが、設計部門の建物の方に近くである事と、人数が大規模なわりに、社員食堂は小規模の為、溢れている状態で利用できるような感じにはなく、いつもお弁当を持参し、持ち場の隅で食べていました。

それぞれの持ち場で私のように食べたり休憩したりしている人も多かったです。
休憩がほとんどなく、通しで立ちっぱなしで、足は固定されたように動くことがほとんどない中での作業で、１日が終わるのがとても長く感じでいました。また、支給されている安全靴を履くのは鉄則の為、履いていましたが、つま先部分には金具が入っており、クッション性も悪く、全体的な素材として柔らかいものではない為、足はつま先から足の付け根まで疲労が蓄積されるので、時々足首を回したりしながら仕事をしていました。

工場の建物自体がプレハブのような簡素な構造の為、冬場は暖房器具として灯油ストーブを利用できますが、持ち場５箇所スペースに１台という少なさで、実質温まらず寒かったです。夏場は持ち場１箇所ずつに風が出てくる太いパイプがありましたが、空気も汚れていて生ぬるい風しか送られてこないのが現状でした。

なにをするにもとてもつらかったですし、単純作業が永遠に続きますし、無言で注意しながらの作業なので精神的にも疲れました。

ちょっとした特典やご褒美、給料日等はやる気もアップしました。また持ち場を少し変えてもらうと新鮮さがありやり甲斐はありました。

なかなか持ち場を変わる事はできませんが、慣れてきて、なんでもできる子だと思われると色々な配置に回してくれるので、その点は認められたという部分と、新しい作業に刺激があって、楽しく仕事もできはかどりました。
また、集荷に来る配達員さん等と会話する事も増えてくると、労いの言葉や、飴玉をくれたりとそんな些細な気配りがとても嬉しかったですし、早く集荷させてあげなければというやり甲斐にも繋がりました。

あとは、工場長から褒められたり、班長から認められて残業やヘルプを頼まれた時は、私だからなのだとやる気も出ました。

圧倒的に女性が多く、無言での作業で、誰かが作った製品に追加して加工するという作業工程がほとんどでしたので、それがスムーズにいかず、仲間割れする人達も結構いました。

もっと作業効率を上げるとしたら、割り振り方や、指示の仕方を変えた方が、もっとみんなが楽に作業ができ、時間内にノルマ数も作り終える事もでき、不良品ができてしまう数も減り、廃棄代等のコスト削減もできたのではないかと思います。

また、社員食堂は働く人数や規模よりかなり狭く、お昼時間に社員食堂を利用できるのはバイトでもパートでも可能でありましたが、１時間しかない点で、集中してしまい、利用できたことは１度もありませんでした。

社割がきいて、働く人達からしたら助かるものでもあり、午後の仕事にも大きく影響する為、もう少し規模を拡大するべきゾーンだと感じました。年に１度の健康診断は、簡易的なものであってもバイトでもパートでもうけさせてもらえて、とても社業員達に配慮されたシステムだと思いました。

年末には割安でお取り寄せできる商品も特別に紹介されたりして、そういったアフターフォローは素晴らしいと思いました。他にも些細なこういう特典があれば働いている人達もやり甲斐があるかと思いました。